あらすじ
朝倉海音(17歳)は、代々続く小さな「仕立て屋兼修繕屋」の家で育った。布や針は幼い頃からの友だちで、彼女の得意は壊れたものを直すこと。縫い目がほつれても、色褪せた刺繍も、海音の手にかかれば息を吹き返す。
ある日、クラスで人気の転校生・黒崎蓮が工房にやって来る。趣味のコスプレで大切なイベントに出たいが、既製の衣装では満足できない。裁縫初心者の蓮に、海音は手を貸すことに。
手仕事を通して二人の距離は少しずつ縮まる。針先に込めた想い、夜遅くまで一緒に仕上げる最後の一針――。互いの趣味と個性を認め合うことで、海音は「家業=伝統」と「表現する楽しさ」の間で葛藤し、蓮もまた、自分をさらけ出す勇気を海音からもらい始める。
第一巻では、出会いから小さなイベント、初めてのすれ違い、そして共同作業での和解までを描く。手仕事の工程描写を丁寧に入れつつ、二人の関係がゆっくりと動く。