あらすじ
俺、佐々木悠(ささき ゆう)は、新潟の高校に通うごく普通の高校二年生。
ただし、何事にも期待せず、斜に構えて物事を眺めるのが得意な、ひねくれ者だ。
放課後のバイト先は、新潟駅万代口の古びた喫茶店「カモメ茶房」。
ここに集うのは、夢に破れた元バンドマン、都会から逃げてきたライター、そして――東京での就職に失敗し、地元に縛り付けられた美人な女子大生。彼ら「人生の敗北者」たちの愚痴や諦めを、冷めたコーヒーのように消費するのが俺の日課だった。
「別に、俺には関係ない」
そう呟いていれば、面倒事に巻き込まれず、平穏な日常が送れるはずだった。
都会への未練と地元への苛立ちを吐き出す姿は、俺にとって最高の人間観察対象で、それ以上でも以下でもなかった。
――そう、あの日までは。
これは、何者にもなれないと諦めた俺が、諦めきれない彼女と出会い、退屈な日常に抗う物語。
甘くて、苦くて、少しだけしょっぱい、地方都市の青春群像劇。