あらすじ
人はこの現世に蔓延する理不尽から心を守るために――
非業の死を遂げた者は”天国”で安らぎを得、
裁かれぬ悪人も、いずれ”地獄”で報いを受けるのだと、そんな物語にすがりつく。
だが、実際の死後の世界は幻想とは程遠い。
そこに待つのは現世の延長にすぎず、
ほとんどすべての魂が、行いにかかわらず地獄へと堕ちてゆく。
天国へ昇るのは、政治家や実業家、医者など、
現世で”特権”をほしいままにしてきた者たちと、その身内ばかりである。
そんな世界において自死した者は、地獄にて最下層の犯罪者に次ぐ卑しき存在と見なされ、
「病人」として”自殺防止医院”に収容される。
そこでは「治療」という名目のもと、絶え間ない苦痛と屈辱が延々と与えられるのだった。
しかし、その病棟にいる「ホッカル」と呼ばれる男はどこか様子が違っていた。
過去のある出来事をきっかけに衰弱し、今では寝たきりの生活を送っている彼は、
他の患者と同じ自殺者であるにもかかわらず、”天国行きの有資格者”として、
”特別顧問”の地位まで与えられ、すべての職員から”厚遇”を受けていた――。