あらすじ

かつて世界を闇から救った勇者エミールは、全ての栄誉を捨て、聖女のような妻リリアと共に辺境で穏やかに暮らしていた。その日常こそが、彼が命を賭して手に入れた最後の宝物だった。 だが嵐の夜、記憶喪失の少年ウオを保護したことから、止まっていたはずの運命は狂おしく回転を始める。エミールはウオに深い愛情を注ぎ、「俺にできた、初めての子供だ」と叫ぶ。ウオもまた、初めて得た家族の温もりに、父を守ることを強く誓った。 しかし、復活した『魔王』が世界を再び絶望に染め、その平穏は無慈悲に打ち砕かれる。愛する家族と、彼らが生きる未来のため、エミールは再び剣を取ることを決意した。 父子の旅路は、しかし、想像を絶する裏切りの連続だった。信じていた仲間は牙を剥き、守るべきはずの民は憎悪の目を向ける。正義と信じた光は闇へと反転し、悪と断じたはずの闇にこそ救いがあった。 そして何より、ウオの中に眠る獣のような『何か』が、血の匂いに誘われるように覚醒を始めていく。勇者の息子こそが、世界を終わらせる「災厄の種」だとは知らずに。全ての悲劇が、聖女の微笑みの裏で描かれた、完璧な脚本(シナリオ)だったとは夢にも思わずに――。 少年は、自らに課せられた『大魔王』という絶望的な宿命から逃れられるのか。 父が命を賭して守ろうとした愛は、本物だったのか。 信じた全てが反転する世界で、最後に残された真実は何か。 これは、最も信頼した愛に全てを奪われた父と子が、運命に抗う、過酷で切ない英雄譚である。

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カクヨム
カクヨム2025/09/02
  • 現在の作品ラスボス反転