あらすじ
異世界でオメガに転生した。ベータと偽り、エディという相棒を得て冒険者をしていたけれど、居場所を知られて連れ戻されてしまった。父に逆らい部屋に立てこもっていると、エディが迎えにきてくれて……でも、そのエディがアーネスト殿下って呼ばれてる? え、隣国の第三王子!?
エディのプロポーズを受け入れた僕は、騒動に巻き込まれていく。出会ったのは自分と同じ転生者、転移魔法の使い手――エディの側近や部下たち。そしてドラゴン!
【以下、ネタバレあり。第2回ルビーファンタジーBL小説大賞応募用あらすじ】
前世は日本人女性だった。異世界に転生し、男性のオメガになっていた。今世の名前はヒューバート・フェネリー。オメガ嫌いの父親から逃げるため、僕は家を出た。
ベータのふりをして、特徴的な目の色を魔法で隠し、僕は冒険者になった。エディという相棒を得て穏やかに暮らすこと二年。僕の元に兄からの手紙が届く。父に居場所を知られたのだ。
その日のうちに馬車が現れ、逆らうことができなかった。エディは僕にネックレスを渡して迎えに行くと約束してくれた。
父に冷たくあたられ、嫁げと言われて、それを拒否した。閉じ込められた部屋に、僕は結界を張った。収納魔法に保管していた食料を消費しつつ、自分から引き篭もる。エディから預かっていた毛布や彼の服を抱えていると、不安が和らいだ。
部屋に篭もること数日、突然エディの声がして、バルコニーに続くドアが破られた。
エディは「アーネスト殿下」と呼ばれていた。彼の本名はアーネスト・エドウィン・サジェル。サジェル王国の第三王子だという。
番に迎えたいというエディの申し出を、僕は受け入れた。
転移魔法の使い手であるアリスター、僕と同じ転生者だったレオナルド、二人の騎士を連れて、僕たちはサジェル王国のリンゼットという場所に立ち寄った。
僕とエディは落ち着ける場所で番になるはずだった。けれど、エディにはアイスドラゴンの討伐が命じられる。
同行したいならレオナルドに勝てと言われた僕は、それまで隠していた闇魔法を使った。シャルザッド王国で忌避される闇魔法が、サジェル王国では受け入れられていることに僕は驚き、オメガ優位の国があることを初めて知った。
僕の同行を認めてくれたエディは、手勢の半分をリンゼットに置き去りにした。ドラゴン討伐という分が悪い戦いに、幼い子供がいる部下を連れて行かないと決めたのだ。
瘴気まみれのアイスドラゴンと対峙した僕は、そのドラゴンが日本語を話していることに気付く。
アイスドラゴンは元日本人であり、人間の感覚を持ったままドラゴンの姿に転生させられ、この世界の言葉もわからず孤独に苛まれて病んでいた。
魔法で宥め、友達になることを提案すると、アイスドラゴンからは瘴気が消えた。人の姿になったアイスドラゴンを連れて拠点に戻った僕は、強大な敵を屈服させた英雄となってしまった。
王都で国王に謁見をと言われたが、エディがそれを断った。きちんと番になってからだと。
リンゼットから北の辺境ザガロワへと移動し、僕とエディはようやく番うことができた。
屋敷の住人たちとも交流し、歓迎されて、僕たちは少しの間楽しく過ごした。
その後、改めて王都ユステルへと呼び出された僕とエディは、アイスドラゴンを鎮めたことを祝う夜会に参加した。
僕は国王陛下から褒賞をもらい、エディは臣籍降下して辺境伯の地位に就いた。
ザガロワに帰った僕たちは、互いに番が隣に居る幸せを噛み締めた。