あらすじ
「アリアンナ、すまない。僕は彼女と出会って、本当の愛を知ってしまったんだ」
長年婚約者として尽くしてきた公爵令嬢アリアンナが、王太子アレクシスから告げられたのは、残酷な裏切りの言葉だった。彼の隣で勝ち誇ったように微笑むのは、アリアンナが妹のように可愛がっていた子爵令嬢。
悲しみと屈辱に震えるアリアンナに、周囲は「復讐すべきだ」と囁く。しかし、彼女の心は驚くほど静かだった。自分以外の女を「真実の愛」と語るような薄っぺらい男のために、貴重な人生を無駄にしたくない。
「復讐なんて時間の無駄ですわ。どうぞ、お二人でお幸せに。――ただ、二度と私の前に現れて、私の幸せを邪魔しないでください」
きっぱりとそう言い放ち、アリアンナは自ら身を引いた。
全てを捨てて、静かな辺境の地で新たな人生を始めようと決意する。
そこで出会ったのは、黒髪に氷のような瞳を持つ、謎めいた若き領主、カイゼル。彼は無愛想で口も悪いが、なぜかアリアンナを放っておけず、ぶっきらぼうな優しさで彼女の凍てついた心を少しずつ溶かしていく。
穏やかな時間の中で、アリアンナがようやく笑顔を取り戻し始めた矢先、あの男――元婚約者のアレクシスが再び彼女の前に現れる。
「君がいないとダメなんだ! やり直してくれ、アリアンナ!」
身勝手な言葉で復縁を迫る元婚約者と、それを許さない寡黙な新しい愛。
これは、過去を振り切り、自分の力で本当の幸せを掴み取ろうと決めた令嬢が、最高の男性に愛され、世界一幸せになるまでの物語。