あらすじ
大学附属の小さな死因解明ラボ――通称「夜の解剖室」。そこで働くのは、学究肌の中年研究者・高橋教授、理論派の若手助手・宮本、そして現役学生インターンの三井葵。葵は父を事故で失った過去を抱える奨学生で、日々「形にならない死」と向き合っていた。孤独死した老人、過労や雇用トラブルに巻き込まれた若者、表向きは事故でも違和感の残る死。葵たちは解剖データ、現場メモ、関係者との会話から、人々の生き様と弱さを再構築していく。
各章で描かれる小事件は、やがて大きな組織の不都合と繋がり、被害者たちの「名もなき声」が一つの真実に編まれていく――。
正義は届くのか、生きることの意味は何か。会話で紡ぐ群像劇。