あらすじ

37歳、独身、趣味は筋トレと美味しいものを食べること。友人も多く、仕事も順調だった。そんな平凡で幸せな日々を送っていた蓮見翔太は、ある日突然、路上で通り魔に襲われた。刃物が胸を貫き、意識が遠のく。

次に意識を取り戻した時、彼は視界の中に何も見なかった。いや、正確には、自身の存在を、漠然とした粘液状の何かとしてしか認識できなかった。

「……え?」

かすかな、しかし確かに彼の声だと認識できる呟きが、広がる粘液の中から生まれた。彼は、スライムになっていたのだ。

最初はパニックになった。自分の身体、いや、粘液の塊を確認するのに必死だった。手足はない。顔もない。ただ、意識だけが、このプルプルと震える、半透明の粘液の中に閉じ込められている。

「……何でスライムなんだよ!?」

叫びたいのに、声は震える粘液の中で共鳴し、奇妙な音を立てるだけだった。

しかし、絶望に浸っている暇はなかった。彼の周囲は、森のような場所だった。鳥のさえずり、風の音、木々のざわめき。異世界に転生したらしいことは、すぐに理解できた。

スライムとしての能力は、最初は限定的だった。形を変えること、粘液を伸ばすこと、そ...

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アルファポリス
アルファポリス2025/09/01
  • 現在の作品『粘液の楽園』