あらすじ
冷たい海風が、二人の頬を撫でた。断崖絶壁の頂上、眼下には果てしなく広がる碧い海。その彼方に、薄紫色の夕焼けが滲んでいた。
「なあ、リョウ」
アベルは、深紅の夕焼けを背景に、小さくため息をついた。彼は、黒髪を肩まで伸ばし、常に冷静沈着を装う青年だ。その姿は、まるで漆黒の夜に浮かぶ、鋭い刃のようだった。
「なんですか、アベル? ワイバーンの姿焼きなら、まだ準備していませんよ?」
リョウは、いつもの明るい調子で答えた。彼は、少しふっくらとした体格で、いつも笑顔を絶やさない。その笑顔は、時として周囲を眩惑させる力を持っている。
「俺は、そんなもの注文していないだろ!」
アベルの言葉には、いつもの冷静さとは裏腹な苛立ちが混じっていた。
「アベル……そこのつっこみは、そうじゃないでしょう? リョウは水属性の魔法使いなんだから、姿焼きは作れないだろう! これが、正しいつっこみです」
リョウは、得意げに胸を張った。彼は、この世界に転生して以来、水属性魔法の使い手として、幾多の困難を乗り越えてきた。その経験は、彼を独特のユーモアの持ち主へと変貌させたのだ。
「そもそも、つっこみって何だ...