あらすじ
現代版『審判』
朝の通知音で、
私は「告発」される。
理由は告げられない。
ただ赤いバッジが光り、
画面の向こうで群衆が笑う。
上司は目を逸らし、
恋人はアカウントを消し、
友人はスタンプひとつで別れを告げた。
「無実を証明する方法はない」
弁護士はデータの海に沈んでいる。
審問は地下で行われる。
モニターの声は冷たく、
傍聴席はスマホを掲げた影たち。
コメントが私を裂く。
「罪を認めろ」「消えろ」
そして「次は誰だ?」
夜の逃走。
ネオンの街でカメラがまばたき、
捨てたはずの端末が震える。
「位置情報を特定しました」
どこにも出口はない。
廃墟の聖堂で、
誰かが囁く。
「審判は神でも国家でもない。
お前が受け入れるか拒むかだ」
私は拒む。
だから削除される。
最後に聞こえたのは
「データ消去完了」という声。
朝のニュースにはただ、
小さな文字が流れる。
――不具合により
アカウント一名、削除。