あらすじ

王家特有の赤髪と新緑の瞳を持たない、淡い金髪に濃紺の瞳を持つ第二王子ディーウィット・アーベライン。 ディーウィットは家族から虐げられ、政務を丸投げされていた。国の特産品である宝石『夜の光石』の採掘量は年々落ち国の財政が悪化していく中、家族は湯水のように金を使う。このままでは国は傾く。だが家族の代わりに自分を育ててくれた臣下らに迷惑はかけられないと、日々努力を重ねていた。 そんなある日、ディーウィットとは違い溺愛されている双子の弟デアーグの代わりに、男であるにも関わらず帝国に行き皇配になれと父王に命じられる。 ディーウィットに拒否権はない。共に政務をこなしていた部下で唯一気の許せる相手だったアルフォンスに惜しまれながら、帝国と王国を結ぶ定期船に乗り込んだ。 ディーウィットの胸元には、かつてアルフォンスがディーウィットに贈ってくれた『夜の光石』の首飾りがあった。優しい思い出を胸に、おそらくは人質であろう皇配を全うしようと決意する。 しかし嵐の日、雇われ護衛の兵士に襲われてしまう。嵐の中、船員に助けを求めに操舵室に向かうが、荒れ狂う波に呑まれて落水してしまった。 目を覚ますと、見知らぬ砂浜に打ち上げられていた。目の前には密林が広がっている。その光景から、ジュ・アルズと呼ばれる帝国の南部にある、帝国の属国だと推測した。 早く帝国に向かわねば、愚かな父王がデアーグ惜しさに帝国に喧嘩を吹っかける危険性がある。急ぎ帝都に向かう為に密林に入ったが、雨に降られ発熱し、集落らしき場所に着いたところで倒れてしまった。 悪夢にうなされる中、夢現に聞いたのは『ムウェ・ラデ』という聞き覚えのない言葉。目を覚ますと、狭い簡易小屋に寝かされていた。 ディーウィットを助けたのは、褐色肌の部族の青年キーニ。キーニは時折ディーウィットのことを『ムウェ・ラデ』と呼ぶが、意味は教えてくれなかった。親切すぎるほど親切に口移しや添い寝、更には排泄の補助までしてくる為、他人に大切に扱われたことのないディーウィットは大いに戸惑った。だが何から何まで世話を焼かれる状況は、これまで人に甘えたことのなかったディーウィットの心を温めていく。 やがて回復したディーウィットは、キーニに帝都への行き方を尋ねる。だがキーニは、『夜の光石』の首飾りを寄越さないと帝都までの行き方は教えないと言い出す。ディーウィットが首飾りを渡すと、なぜかキーニは額飾りを贈ってきた。 ディーウィットは最初、ひとりで帝都に向かう予定だった。だが慣れない者が密林を進めば遭難する為、帝都に姉がいるというキーニが一緒に来ることになった。 二人の旅は楽しかった。給餌やキスをされている内に、ディーウィットは彼を愛していることに気付く。このまま一緒にいられたらどんなに幸せか。 だが、二人の幸せな時間は帝都に着けば終わりを迎える。 はたしてディーウィットに待ち受ける未来とは――?

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カクヨム
カクヨム2025/09/01
  • 現在の作品孤独な王子は部族の青年の献身で愛を知る