あらすじ
「ダンジョン」の存在が常識となった世界。
人々が熱狂するのは、モンスターと戦い宝を求める「冒険者」たちの華やかなダンジョン攻略配信。
しかし、その光の当たらない場所で、人知れず急増するもう一つのダンジョンがあった。
殺人、自殺、事故――人の強い怨念が現実を侵食して生み出す、異空間ダンジョン『領域(テリトリー)』。
これは、そんな歪な迷宮にたった一人で挑む青年、**斎(いつき)**の物語。
彼は、魂の悲鳴が具現化した「怪異」が巣食う領域の様子を、淡々とライブ配信する。
『どうも、イつきです。本日の"現場"はこちらになります』
視聴者は絶叫し、コメント欄は阿鼻叫喚に包まれる。
しかし斎は動じない。彼の目的は戦闘ではなく、ダンジョンの核となった魂の最後の声を聞き、安らかに看取ること。
親友の「勘違い」から始まった配信は、いつしか孤独な魂を救う鎮魂の儀式となり、斎は画面の向こうの無数の視聴者と共に、魂の最期を見届ける。
これは、新時代の"除霊"であり、心霊ドキュメンタリーであり、そして、魂のカウンセリングの記録である。