あらすじ

魔法革命は、街を便利にした。灯りは杖一つで灯り、工場は魔力で回り、兵は夜でも訓練できる。 けれどその代わりに、風は臭気を運び、壁は共鳴し、川は蒼光《あおひか》りを帯びた。誰もそれを公害と呼ばないだけで、国土は静かに病んでいく。  ――そんな中立ち上がった青年がいる。彼の名はマルム。肩書きは魔王軍環境対策部門外部顧問環境コンサルタント。 謎多き彼はある日決める。「この公害から魔族を救ってやる」と。「この領を健やかに保ってやる」と。  護衛はカマキリ娘のキリハ。前脚の小さな鎌は、彼のためだけに振るわれる。 彼女は無言で危険を払い、マルムは数字と段取りで現場を動かす。敵は人間じゃない。無知と手抜きと、静かに広がる魔力汚染《マナブリード》だ。  彼は工場を止めたくない。止めれば兵站《へいたん》が詰まり、戦に負ける。 だからこそ、順序で勝つ。測る――仮止め――流れを描き直す。 遮るのではなく回す。壊すのではなく配置する。 キリハが安全を確保し、俺が最短の三手で数値を戻す。 「人類に勝つ前に、公害を止めろ。勝利条件は健康だ」  魔王は吠え、四天王は利を語る。勇者は剣を掲げ、人類は正義を信じる。 だが、どちらの陣営にも肺があり、鼓膜があり、川を飲む口がある。 マルムたちは今日も現場に入る。臭いを嗅ぎ、壁を叩き、川底の泥をすくう。 この領の空を澄ませるために。まだ見ぬ明日を、守るために。  ――魔王軍環境対策部門外部顧問環境コンサルタント・マルム。 「公害対策で明日を守ります!」 異世界お仕事小説。 毎日21:00&22:00更新!

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カクヨム
カクヨム2025/09/01
  • 現在の作品魔王軍環境対策部門・外部顧問 環境コンサルタント・マルムの現場録