あらすじ
あの日、世界は声を失った。
天を裂く「沈黙の雷」が、すべての魔導通信を焼き尽くしたのだ。街の喧騒も、神殿に響く歌声も、すべてが消え失せ、人々はささやき合うことさえも恐れた。
吟唱巫女のあやは、心を癒やす特別な声を持つが、その声を「盗まれる」呪いを抱えていた。沈黙は、彼女にとって安らぎであると同時に、孤独そのものでもあった。
そんな中、私は聞いたのだ。
錆びついた古代の魔法具から流れる、たったひとつの「声」を。
その声の主は、忘れられた真声晶を扱う少年、レンジ。
不完全なノイズに満ちていても、その声は希望の光だった。そして、この声だけが、私自身の「呪い」を解き放つ鍵だと、直感した。
これは、声を失った世界を舞台に、少年と少女が「本物の声」を求めて旅をする物語。
孤独な巫女と、希望の声を持つ少年。
沈黙に覆われた世界で、二人の想いが交差したとき、止まったはずの物語が、再び動き出す。