あらすじ
(ここに来るの久しぶりだなあ)
数十年前ここに一度来たことがあるが、やはり時の流れは怖い。街並みが全く違う。が、変化を楽しむのも悪くない。
「もうちょっと静かなところないかな」
シーニーにとってこの街は少々人が多い。
ただ、前回来た時の記憶ではあるが、景色がきれいな穴場みたいなものがあった(気がする)。本当に誰も来なさそうな場所だったので、まだあると思う。
(塔の近くだったから、、、、、ここだ)
案外近かった。本当に景色がいい。人も少ない。ついでにとっても暖かい。
寝転がってから深い眠りにつくまで、そう時間はかからなかった。
「起きてください。、、、結構寝てましたね、そろそろホワスさんのところに着きますよ。多少のあいさつ位はしてくださいね」
お願いします、と付け加えてシーニーの体をある男が起こした、、、、、いや、意味わからん。こんな人は知らないし、そもそもホワスさんも知らない。何より今シーニーが馬車に乗っていること自体がおかしい。
「ここ、何処ですか」
「馬車ですね」
「、、、、、知ってます」
「なら良かったです。さて、私はホワスさんを迎えに行きます。待ってて下さい」
(だからホワスさんって誰だよ)
いきなり馬車に乗せられた挙句知らない人に会わされて、これからまたなんかありそうな雰囲気だ。まあ、馬車に乗せられてしまったのは無防備に寝ていたシーニーも悪いのだが。
「さ、乗って下さいねチョウラさんのところへは比較的すぐ着きますから、酔うことはまずないと思います」
「、、、、はい」
この人がホワスさんであろうか。背が低くて、後ろのほんの一部だけが長い、不思議な髪形をしている14歳辺りの男の子が入ってきた。
多分、向こう側から見たらシーニーは、15、6歳辺りだと思う。多分。
「こんにちは?」
「こんにちは?」
そういいながら、今は夜である。
(気まず)
ずっとにこにこしている男に、無表情の男子。気まずすぎるのでとりあえず寝ることにした。
「起きた?おはよう、ええと、シーニーちゃん!」
(またもや知らん人登場)
なぜ、こう寝ている間に知らない人と出会うのだろう。外見はめちゃくちゃカラフルで、一度見たら忘れられなさそうだが、残念ながら知らない。
この元気な人のおかげで(いつの間にか)気まずい空気は和らいでいる。なお、今は深夜だ。
「こんばんは」
「シーニーさん。この方はチョウラさんです。これから三人には、大事な話を致します。座って頂けますか?」
「はい」
「ではまず、あなた方を集めた訳について。あなた方には共通点があります。種族が耳隠しのエルフであることと、二百年以上生きていること。これが共通しているのは、いくら調べてもあなた方しかいなかったので。そういう訳です」
(どういう訳です?)
理由になっていない。今の説明では、集めて何がしたいのかが全く分からない。
「どうしたいのかは今から説明しますよ、シーニーさん」
(見透かされてたか)
「顔に書いてあったので、その問いに答えただけです」
「何がしたいんですか」
「私の勤め先で働いてほしいんですよ。70年ほど」
(そりゃあ、新しい思い出ができそうだ)
70年と言えど、その内で何が起こるかはわからない。誰かの意図は当然あるだろうし、もしかして___
「着きました。今日はこれで。この宿に泊まって下さい。」
馬車から降り、男はすぐに帰ってしまった。
シーニーの思考は邪魔された。だが、深く考える気もなくなった。
とりあえず今は、宿で全く知らない人と何を話せばいいか考えることにした。
登場人物紹介
シーニー・リザード→幼い頃に親が亡くなった。少々怒りんぼう。耳隠しのエルフで特技は料理。
チョウラ・バタフライ→母親がエルフ。理解力が低い。耳隠しのエルフで特技は声真似。
ホワス・タイガー→母親がエルフ、叔父がドワーフ。耳隠しのエルフで特技は釣り。
ルーラ・フォックス→シーニーたちを集めた女。種族、年齢は不明。