あらすじ
「さて、困った」
机に並べた夏休みの宿題。どれも完璧にやり尽くしたはずだったが、絵日記がある事をすっかり忘れていたのだった。まさか初日から終わりまで一切書かれていない日記を本日一日で埋めなくてはならないとは、これはヘビーである。
しかし所詮は日記。やってできない事はない。
「いちいちなにやったとか覚えてないが……まぁ、適当にでっちあげるか」
誰が見ていたわけでもないのだ。なにを書いても許される。とりあえず初日は家でテレビを観ていたことにしよう。"昼のワイドショーが存外面白かった"記念すべき最初の一ページ完了である。
……
……いいのか、これで。
俺の夏休みの最初が、"ワイドショーが面白かった"などというクソどうでもいい内容でいいものなのだろうか。いや、いいはずがない。導入は顔である。もっと壮大で厳かな奥行きがなければ読む人間の心を掴めないだろう。一行読んでワクワクする、そんな始まりでなくてはならない。