あらすじ

今から20年以上も前に、まだ二つ折り携帯が主流でスマホなんか存在しなかった時代に、「ケータイ小説」というジャンルが一大ブームとして流行ったんです。

当時から活字離れが懸念されていたのですが、このジャンルは携帯のエンターテインメントとしても、小説を読まない若者に対しても画期的だと思われていたので、文学好きには新たなる希望の存在でもありました。

しかし試しに読んでみたら想像より1億光年も遠く、女子高生の妄想純度100%の雑記のようなもので、既に30を過ぎていた文学好きの男からしたら、小説の肩書を名乗っている事さえ憤慨を禁じ得ない内容ばかりだったのです。

そして世間は二匹目や三匹目の「恋空」を探す為に様々なケータイ小説を募集していたので、ネット界では小説のような形を取った粗悪な文章が垂れ流され続け、そういった流れに対抗しようと従来の形の小説を書いて応募したら即効黙殺されたので、虎視眈々と業界に一矢報いる機会を探していました。

そこで無頼を気取っても誰にも相手にされない事には気付いていたので、敢えて懐に飛び込む為、ケータイ小説のフォーマットに近付けながら、それをトコトン馬鹿にする小説を書こうと心に決めたのです。

底意地の悪い考えだったのですが、世間に相手にされない自分の唯一の手段だったので、それはもうこれ見よがしにケータイ小説へのアンチテーゼを盛り込みながら創作していったのです。

すると不思議と徐々に人気が出てきて、某サイトでのコンテストでは第三次予選まで通る結果になったのです。

或る程度読者が着くと心が安定してきたせいもあり、最初は大嫌いだった設定やキャラクター達にも愛着が生まれ、これはなんとかしてハッピーエンドに導かなればいけないなと使命感に捕らわれるようになりました。

なので生まれた経緯は恨みつらみを吐き出す為だったのに、いつのまにか人生賛歌を伝える話に変わっていった良く分からない小説ですが、そういった変遷を今思い出すと面白いなって客観的に思えるようになりました。

作中には当時のオタク文化やデジタルツールの描写に対してピンとこない読者も多いでしょうが、2005年頃の空気を味わえてもらえたら幸いです。

それではお楽しみください。

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アルファポリス
アルファポリス2025/08/31
  • 現在の作品ケータイを変換で軽体(鬱)