あらすじ
魔法と精霊の国、シトロニア帝国。
帝都の街の喧騒から少し離れた路地に、ひっそりと魔道具店は佇んでいる。店主ルアは温和な精霊術師。
しかしその正体は、かつて全ての精霊を統べた精霊王であった。前世の記憶を持って産まれた彼のもとに持ち込まれるのは、壊れた道具ではなく、精霊たちとの心の齟齬によって沈黙した魔道具たち。
風を吹かせぬペンダント、声を失った水鏡、眠れる土の守り手――。それらは人の思いと精霊の願いが交わることで、再び命を宿してゆく。ルアは精霊に耳を傾け、人々に寄り添いながら、静かに小さな奇跡を織り重ねる。壮大な冒険の物語ではない。
けれど、見えぬ存在に寄り添う温もりを感じる……日常に潜むささやかな奇跡を描いた、短編集である。