あらすじ

中学一年生の美咲は夏休みの初め、親友の明菜や幼なじみの和樹、そして転校生の拓斗と一緒に「二百六十五年に一度のスーパーブルーブラッドムーン」を見るため、夜の山へ登った。懐中電灯や望遠鏡を手に、胸を弾ませてたどり着いた頂上には、真っ赤に染まる大きな月が浮かんでいた。幻想的な光景に見とれたその瞬間、突如として赤い霧が広がり、四人は意識を失ってしまう。 目を覚ますと、そこは昼間まで過ごしていた町ではなく、建物は崩れ、木々は枯れ、ゼミの声も消えた不気味な世界だった。静寂を破ったのは、耳の奥に突き刺さるような「ノイズ」の音。そして現れたのは、人影のようで顔が砂嵐に覆われた存在だった。その影はゆっくりと、しかし確実に迫ってくる。背筋を凍らせた四人は「逃げなければ飲み込まれる」と直感し、必死に駆け出した。 美咲は、朝に読んでいた都市伝説の言葉を思い出す。 「赤い月の日、閉ざされた扉が開く」――まさにその伝説の世界に迷いこんだのだった。手がかりを頼りに出口を求めて電化製品を集める四人。 ノイズの力はさらに強まり、ついに仲間は次々と影に操られてしまう。取り残された美咲は恐怖に押しつぶされそうになりながらも、必死に逃げ出した。そんな彼女の前に、一匹の黒猫が現れる。不思議な導きのように猫を追った美咲は、神社へとたどり着き、そこで古びた紙に記された「清き光」という言葉を発見する。それは仲間を救うために自分ひとりに託された希望だった。震える手でその言葉を握りしめ、美咲は決意を固める。信じられるのは胸に抱いた小さな黒猫と、自分のわずかな勇気だけ――。赤い月が沈む前に彼らは帰れるのか。仲間を救えるのか。夏休みの冒険は、恐怖と友情が交差する最大の試練へと変わっていく。

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カクヨム
カクヨム2025/08/31
  • 現在の作品赤い月