あらすじ
中世と近世のあいだのような時代、石造りの街並みと荘厳な城が並び立つ国。
その一角で、少しばかり「わがまま」な令嬢エカテリーナと、彼女に仕えるメイド長マリアの日々は続いていた。
マリアは四十代前半。落ち着き払った物腰で屋敷を取り仕切る有能な女性――だが、その正体はかつて名を轟かせた伝説級の魔法戦士。
今はただ、亡き恩人の娘であるエカテリーナを守り導くことに心を砕いている。
令嬢は今日も「授業が退屈」と机に突っ伏し、マリアは「はいはい」とため息をつきながらも根気強く諭す。
けれど、この屋敷の平穏は長くはもたない。次から次へと訪れる客人――騎士、商人、魔導士、芸術家……。
いずれも個性的で華やかな青年たちばかり。
本来なら彼らの視線はエカテリーナへ注がれるはずなのに、なぜか皆、マリアの方にばかり向いてしまう。
本人は全力で否定するのだが、真面目な仕事に追われながらも「また頭痛の種が増えましたね……」と心の中で嘆くことになる。
笑いと小さな波乱が重なりながら、それでも日常は進んでいく。
メイド長とわがまま令嬢――二人の絆が織りなす物語は、今日も新しい幕を開ける。