あらすじ
鈴名宝・十二歳は、伝説の声優・鈴名葵の一人娘。可憐な声質【カワボ】だった母と違い、極度の【ハスキーボイス】だったが、自分を産んでくれたと同時に亡くなった母のようになりたいと、父の反対を押し切り天国の母も通った声優界の超名門【星桃学園中等部声優科】に入学する。そこで出会ったのは、現役プロ声優である対馬輝臣。入学式の日、宝は輝臣のアクションによって全校生徒の前で【カワボ】のキャラを演じてしまい、【本当に鈴名葵の娘か?】と疑われてしまう。輝臣に加え、それぞれ複雑な過去を持った比良花ユメ、本瀬ヒカル、早乙女レーナ。仲間でもありライバルたちと声優のレッスンを受ける日々が続き、【自分の声質を理解】したある日、プロ声優・一条先輩に連れられてやって来たのは、アフレコスタジオ。宝はそこで、輝臣の父親である星桃学園理事長兼プロデューサーから、母が主演していたアニメの【レイン役】(本来の声優である神崎茂人さんの緊急代理役)として、オーディションに合格しなければ即退学と告げられる。オーディションで競う相手は、隣のクラスの矢崎世羅。世羅は、血の繋がらない母・矢崎まりもを母にもつ一年ソラ組の女の子だった。まりもは鈴名葵のライバルで、今回のアニメで役を逃したこと・声優アワードを取れなかったことから、声優を辞めたという経緯があった。世羅は母の無念を背負い葵の娘である宝を敵視する。練習に付き合ってくれた輝臣の協力もあり見事オーディションに合格、【レイン役】を勝ち取った宝。喜ぶが、初めてのアフレコは散々。対馬プロデューサーから、足りないものがあると指摘を受ける。ユメ、ヒカルの話を聞き、自分に足りないものは自信であることに気づくが、そこに世羅が現れ、鈴名葵はまりもに、【宝なんか妊娠しなければよかった】と言っていたと告げる。ショックから一時的な失声症に陥る宝。二度目のアフレコは明日という日、母・葵が夢に出てきて、優しく語りかけてくれる。声を取り戻した宝は【レイン役】として仕事を全うし、神崎茂人さんが引退するにあたって引き続き【レイン役】を続けることになる。
*第14回角川つばさ文庫小説賞 応募作品第二弾です。