あらすじ
契約社員の矢野結(27)は、毎日定時退社を目標にしつつも、ちょっとした後悔を抱えて帰路につく日々を送っていた。
ある夜、帰り道の自動販売機前で、差出人不明の小さな封筒を見つける。中にはこう書かれていた――
「きみの“もしも”を一つだけ、代行します」
半信半疑で依頼を受けると、翌日から結の周囲で、過去の小さな行き違いやすれ違いが次々と解消されていく。
依頼を代行するのは、昼は普通の書店員をしている謎めいた青年・冬樹。結はその依頼を通じて、同僚の孤独や家族のしがらみ、元恋人とのわだかまりなど、様々な“誰かの事情”に触れていく。
しかし「手紙屋」にはルールがあり、解消された“後悔”は必ず別の誰かの問題を浮かび上がらせる。
やがて結は、“解決”の先にある本当の問い――自分は何を選ぶべきか――に直面する。
日常の小さな奇跡、優しいユーモア、そして社会の断片を織り込んだヒューマン・ミステリィ。