あらすじ
小さな村に生まれた少年ハヤトは、父の魔法学だけを受け継ぎ、母の魔法薬学には触れられない「半端者」だった。姉マスリナは両親の才を併せ持つ稀代の魔女と呼ばれ、周囲から常に比べられる日々。幼いハヤトの胸には「自分は半分だ」という痛みが刻まれていった。
やがて村を巨人族オーガの群れが襲い、両親は村と子を守るために戦い、炎に消える。姉の手を引かれ、ハヤトは唯一の生き残りとして逃げ延びるが、その心には喪失と無力感だけが残された。
南の町ルファンへ辿り着いた姉弟は、生きるために冒険者となる道を選ぶ。試験でマスリナは才能を輝かせる一方、ハヤトは力不足を突き付けられる。それでも姉の隣に立つことで、辛うじて冒険者としての第一歩を踏み出した。
初めての依頼は薬草採取と配達。小さな仕事に汗と泥を流しながらも、二人は「生きるために戦う」現実を知っていく。だが、森での薬草探しの最中、狼の群れに囲まれた姉弟は、初めて真の死の恐怖に晒される。
恐怖に縛られながらも、ハヤトは震える手で魔法を放ち、姉と共に連携して危機を乗り越える。小さな一撃でも仲間と響き合えば力になる――その手応えこそ、彼の「調律」の始まりだった。
やがて二人の旅路は、ただの冒険ではなく、「運命の遺伝子」を揺さぶる長い戦いへと繋がっていく。