あらすじ
七度目の人生は、終わったはずの世界だった。
六度の転生、六度の世界の終焉を経験し、その全てを魂に刻み付けた男、アレス。
仲間を失い、世界を失い、希望さえも失いかけた彼が、七度目に目覚めたのは一見すると平和な港町だった。
だが、その平穏は偽りだった。
この世界は、三百年前の『大災厄』で一度滅び、禁断の魔術によって辛うじて延命させられているだけの死にかけの世界だったのだ。
人々は知らず知らずのうちに魂の活力を奪われ、歴史は改竄され、世界はゆっくりと、しかし確実に真の「終焉」へと向かっていた。
孤独な賢者の最後の旅が始まるはずだった。
だが、七度目の世界はこれまでと何かが違った。
——世界の秘密をその血に宿す勝ち気な赤い髪の令嬢、リリアナ。
——全てを知るかのように微笑む謎多きメイド、サラ。
——過去の栄光を奪われ、裏社会で牙を研ぐ隻眼の元英雄、ジャック。
出会うはずのなかった仲間たちとの絆が、諦観に染まった賢者の心を少しずつ溶かしていく。
しかし、彼らの前に三百年の時を超えた巨大な陰謀が立ちはだかる。
世界を支配する聖教会の狂信。王都を蝕む禁忌の生命錬成。
そして、全ての終焉の裏で糸を引く裏切り者の英雄の歪んだ野望。
さらに、世界の理が歪み始め、アレスがかつて経験した六つの終焉世界の悪夢が次々とこの世界に侵食してくる。
かつて彼を殺した魔王。彼を裏切った親友。そして、彼がその手で殺めてしまったただ一人の弟子。
過去の絶望が物理的な形となって、再び彼に襲いかかる。
これは、七度の人生を生きる一人の賢者が自らの呪われた運命に最後の反逆を挑む物語。
仲間と出会い、過去を乗り越え、そして、偽りの終焉を終わらせ、本当の黎明を掴み取るための、壮大な叙事詩。
——果たして、七度目の正直は絶望か、それとも希望か。
今、終焉の賢者の最後の戦いが始まる。