あらすじ

市役所の片隅にある「失踪届係(通称・失踪係)」──そこに臨時職員として配属された斎藤陽(さいとう よう)の仕事は、家出や行方不明の人々の“最後の痕跡”を集め、報告書にまとめること。しかし、日々の業務の背後には、誰も語らない事情と、傷ついた人々の思いが潜んでいた。 ある日、陽のもとに届いたのは、誰も届けなかった一冊の古い手帳。そこには、消えた青年・川本翔也の日常が淡々と記され、拾われた写真や矛盾する証言が混ざっていた。調査を進めるうち、翔也が通った古本屋、夜だけ開く喫茶店、街の片隅で秘密裏に活動する“夜の図書館”という組織の存在が浮かび上がる。 陽は報告書を作成する職務を通じ、家族の嘘や友人の後悔、社会の無理解といった現代の齟齬に直面する。やがて彼が知るのは、失踪は単なる行方不明ではなく、社会が拾い上げなかった“声”の集合体だということ。失踪者の声を記録することは、同時に自分自身の傷と向き合うことでもあった。 第1巻では、一件の失踪を軸に、笑いと切なさが共存する短編エピソード群を展開。会話中心でテンポ良く進みつつ、巻末の「一冊の手帳」の謎に向けた伏線を静かに積み重ねる──読む人の心に後味を残すヒューマンドラマ。

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小説を読もう2025/08/31
  • 現在の作品失踪係のレポート──届けられなかった声を記す仕事