あらすじ
戦場で命を落とした一人の勇者。彼が次に目覚めた時、その姿は緑色の肌を持つ弱小モンスター「ゴブリン」に変わり果てていた。
人間としての力も言葉も失い、絶望の淵に立たされた彼だったが、そこで出会ったゴブリンたちの社会は、彼の知る「野蛮な魔物」のイメージとは全く異なるものだった。彼らは無益な争いを避け、「手間を払う」ことを信条としていた。スライムを利用した浄化槽、オークと協力して動かす水車、薬草の知識や多様な魔物たちとの共存によって、驚くほど合理的で持続可能な生活を築いていたのだ。
剣を振るうことしか知らなかった元勇者は、穏やかで知恵に満ちた彼らの暮らしに触れる中で、力ではなく「手間」と「共存」によって生きる、新たな道を見出してゆく。
これは、争いの果てに命を落とした元勇者が、一匹のゴブリンとして静かな再生を始める物語。