あらすじ
中高一貫の女学院に通う中学一年生、亜麻透子には、一つの趣味があった。名前も知らない年上の女子生徒を、放課後にお姉ちゃんと慕い、二人以外誰も来ない寂れた庭園で特別な時間を過ごすこと。
お姉ちゃんは自分のことを”ゆう”と呼び、やはり名前は聞かない。透子は彼女がお姉ちゃんとして振る舞えるように、冷めた感情に仮面を被り、人懐っこいゆうを演じていた。
この歪な関係、ともすればまともな人間の普通の関係でないからこそ、自分だけがこの先輩に優しくしてやれるのだ、と透子は満喫していた。しかし日を追うにつれ、どうして彼女が自分に執着するのか、ゆう、とは何なのか、自分が被る仮面の人格は、本当にまるきり自分ではないのか。
文化祭でそんな疑問をぶつけた彼女は、お姉ちゃんが亡くしたきょうだいのこと、そのきょうだいと自分の声が瓜二つであり、故に彼女が死者の幻影を自分に見ていることを知る。
知った上で彼女のきょうだいを改めて演じ、それに互いに満足しているつもりだったが、遊園地でのデートで楽しいという感情を持つことで、互いが互いに嘘をつき合っているという状況に違和感を感じてしまい、二人は喧嘩する。
それはお姉ちゃんとの決別であり、二人は遊園地でのデートの最後に喧嘩をして、その上で納得して別れる。
だがそうして去ったあと本当に大切なのは関係がどうであれ互いに一緒にいることだと思い、透子はお姉ちゃん、否、先輩の茜の家へ向かう。
二人が互いを、他のなんでもない、大好きな人と定義して、物語は締めくくられる。