あらすじ
おろかな者は嗤われ、足蹴にされて、後ろ指をさされていじめられ潰される。
そうしても良いと社会は勘違いしていて、大抵の人間もそれを黙認してしまっている。
そんな世間に対し強い生きづらさを感じ、「社会へのまっとうな参加」をためらっている十九歳の若者・宵村剋舟(よいむら・こくしゅう)。
彼は漠然と作家をして日々を過ごし、雀の涙ほどの収入を得て暮らしていた。
ある時彼は尋常小学校から付き合いがある親友・暁星銀志(あかぼし・ぎんし)を失う。
強盗殺人の凶弾に倒れた彼が遺した「とある手記」を、剋舟に相続する──そのような遺書が見つかったのは、銀志の死から半月後のことだった。
同時に、剋舟の前に一人の女が現れる。
彼女は生前銀志と交流を持っていた、褐色の肌に銀の髪をした「錆鉄国」の部族・錆牙族の出身であるという。
己を錆牙詠理(さびきば・えいり)だと名乗り、詠理は「暁星の手記」と、そしてそれを相続する剋舟を護る役目を銀志から依頼されたと言い出し──?
古の禁忌を記した一冊の手記を巡る旅路は、やがて大いなる龍神の跫蹤を辿ることになっていく……。