あらすじ
プロローグ
その世界は《アーク=ノヴァ》と呼ばれている。
銃と機械が発達し、鉄と蒸気の都市が広がる一方で、亜人や精霊、獣人といった多種多様な種族が共存する大地。だが、地図に記されぬ秘境や未踏の荒野はなお多く、そこには常識を超えた怪物や、未だ名も知られぬ存在が息づいている。
人々が銃を手にし、蒸気機関車が街を結び、空には飛行船が浮かぶ。そんな秩序だった文明の中にあって、なお説明のつかない「異常」がある。
彼らはこう呼ばれていた。
《特異能力者(アブノーマルズ)》
通称「アブズ」。
魔法でも技術でもない、ただ本人だけに宿る内なる力。
それは火を操る者であったり、影から武器を創る者であったり、触れたものを透明化する者であったり。
時には言葉そのものを歪ませ、時には幻を現実に変え、時には未来を覗き込む。
彼らの力は予測不能であり、制御困難であり、時に社会の均衡を揺るがす。
そのため、「人間であって人間でない存在」と忌避され、恐れられてきた。
そんな「アブズ」を管理するために創設された組織がある。
《A.C.E(アーク能力者統制機関)》
正式名称、“Armed Control for Extraordinaries”。
それは超国家的な監督組織であり、能力者の監視と登録を徹底するために存在していた。
A.C.Eに所属した者は異能を「合法的」に使用する権利を得る代わりに、戦力として国家や企業に利用される。だが、所属を拒み、許可なく力を使えば、その時点で“犯罪者”と見なされ、追われる立場となる。
自由か、秩序か。
それは能力者にとって常に突き付けられる二律背反の選択だった。
そして、この世界で物語が始まるのは、ひとりの若者からだ。