あらすじ
熱血でも諦観でもない中間の温度で、クラス行事をめぐる一人称の心の揺らぎを描いた独白の掌小説である。
主人公は、中学1年の運動会・綱引き大会に向けて、クラスと共に旗を作り、スローガンを決め、一丸となって臨む。しかし敗北後、再戦を望む声は上がらず、熱気は急速に冷めていく。本人は「熱血キャラではない」と自覚しながらも、仲間の熱が失われていく様子に小さな寂しさを覚える。
物語は、古い歌詞への距離感から始まり、行事への一時的な熱中、そしてその終息を静かに観察する流れで進む。「初心」や「燃え尽き」という大仰な言葉を借りながらも、主人公の温度感はあくまで現実的で、だからこそ同世代的なリアリティがある。
クラス行事の高揚と虚脱、そのはざまで揺れる感情を、軽妙な語り口で切り取った一篇だ。