あらすじ

宮沢賢治「グスコーブドリの伝記」リスペクト 寒月の夜。而立を迎えようとする火山研究者の男は、今日もひとり月を見上げる。氷河期を乗り越えるために、世界はひとつの火を求めていた。その火を灯す者を、誰かが担わねばならない。告げられぬ想いがひとつある。古巣に帰るたび、変わらぬまなざしで待っていてくれる人がいる。けれど、研究に身を置く者にとって、その想いは許されぬものだった。組織に広がる静かな緊張。誰が引き受け、誰が逃れ、誰が見張っているのか。焦燥が沈殿する日々のなかで、男はただ、月に問いかける。それでも見上げてしまうのは、変わらぬものにすがる、ささやかな希望ゆえか。語られぬ感情と、選ばれていく命。 沈黙の中に燃える葛藤を描いた、静謐なるサスペンス掌編。

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カクヨム
カクヨム2025/08/30
  • 現在の作品月を噛む男