あらすじ
あらすじ
夏の夜、港町の花火大会。
浴衣姿で集まる人々の中、沙耶は一人で
堤防に立ち、夜空を見上げていた。
彼女の隣には、本来なら去年の夏に約束を交わした恋人がいるはずだった。
――「来年も、一緒に見ような」
しかし、その約束を果たすはずの彼は
もうこの世にはいない。
人混みを嫌がりながらも、沙耶のために甚平姿で付き合ってくれた去年の花火大会の思い出が、鮮明によみがえる。
不器用ながら優しかった彼との時間は、今も沙耶の心を強く縛りつけていた。
最後の大玉が夜空を彩る中、彼女は胸に手を当て、失われた約束を抱きしめる。
「私はまだ、あの約束の中に生きてるんだよ」
涙を流しながらも、彼に向けて
「ずっと、愛してる」と囁く。
花火の残り煙が夜空に漂うその一瞬
沙耶には彼が確かにそこにいるように思えた。
そして彼女は誓う。来年も、その先の夏も
同じ場所で花火を見上げ続けることを。
――愛した人が、どこかで
見守ってくれていると信じながら。