あらすじ
「自分が世界とつながっている」
信男は定職にもつかず、街外れの古いアパートで一人静かに暮らしていた。人と交わることを避け、昼は無為に過ごし、夜になるとただ街灯の下に立ち尽くす。そこには特別な理由があるわけではない。けれど、淡い光に照らされる時間、彼は世界とつながった気がした。
ある晩、街灯の下で猫と出会う。人とではなく、猫と視線を交わすささやかな瞬間に、信男は自分の孤独がほんのわずか和らぐことを感じる。しかし翌日、その猫の姿はもうなかった。残されたのは変わらない街灯の光と、胸の奥に染みる言いようのない孤独。
光は消えない。けれど、そこに立つのはいつも自分ひとりだけだった。