あらすじ

2009年、戦後日本の政治に大きな転換点が訪れた。政権交代。国民の期待を背に、第93代内閣総理大臣に就任したのは鳩山由紀夫――政治一家に生まれながら、大臣経験ゼロでいきなり頂点に立った異色の総理だった。 彼が掲げた旗印は「友愛」。 それは、人と人、国と国が助け合い、理解し合う政治を目指す理念であった。記者クラブを開放し、情報を国民に開き、官僚依存から政治主導へ舵を切る。理想を現実に変えるための挑戦は、これまで閉ざされてきた壁を一気に打ち壊そうとするものだった。 だが、その瞬間から彼は孤立していく。霞が関の官僚、大手メディア、アメリカ、そして長年権力を握ってきた自民党――戦後日本を動かしてきたすべての既得権益を同時に敵に回したのである。 普天間基地移設問題では「最低でも県外」と約束しながら、外務省が示した一枚の「偽文書」によって追い詰められた。政治資金問題では、母親からの援助と秘書の虚偽記載を糾弾され、メディアは連日「迷走総理」「バカ総理」と叩き続けた。支持率は急落し、短命政権の烙印が押される。 しかし、彼はスキャンダルや腐敗ではなく、理念を貫いたがゆえに倒れた数少ない総理でもあった。「国を良くしたい」という根っこの思いを胸に、孤独な戦いを続けた姿は、敗北でありながらも確かな爪痕を残した。 本作は、史実に基づきながら「一人の政治家の挑戦」を小説形式で描く物語である。政治に関心がない読者にも、権力の仕組みと理想の重みを「人間の物語」として味わっていただきたい。

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小説を読もう2025/09/21
  • 現在の作品友愛の旗の下で ―既得権益に挑んだ短命政権の記録―