あらすじ
大学帰りの事故で命を落とした青年・白石ユウは、目を覚ますと見知らぬ城の豪奢なベッドの上にいた。
石造りの壁、天蓋付きの寝台、重厚なタペストリー──そこはまるで中世の王城のような空間だった。
混乱するユウに、執事は告げる。「魔王様がお待ちです。婚約者として」
その言葉に、ユウの記憶が弾ける。ここは、彼が生前プレイしていた乙女ゲーム『エターナル・クラウン』の世界。
しかも、攻略できなかった隠しキャラ・魔王ヴァルゼルの城だった。
だが、ゲームの設定とは違っていた。
本来、魔王に婚約者など存在しないはず。主人公は王国の姫で、魔王とは敵対関係。
それなのに、なぜ自分が男性の身で婚約者として召喚されたのか──。
玉座の間で対面したヴァルゼルは、冷酷で感情を見せない青年だった。
「貴様の役割は簡単だ。俺の隣に立ち、必要な時に笑顔を見せ、そして黙っていろ」
その言葉は、ユウを道具としてしか見ていないようだった。
それでも、ユウは心の奥で疼く感情を否定できなかった。
ゲームの中で惹かれていた、孤独な瞳。攻略できなかったあの人が、今ここにいる。
冷たい態度の裏に、過去の傷があることも知っている。
「道具として扱われても構わない。それでも、あの人の側にいられるなら」
ユウはそう呟き、魔王城で生きる覚悟を決める。
これは、転生した青年と心を閉ざした魔王が、契約から始まる関係の中で少しずつ心を通わせていく物語。
冷酷な言葉の奥に隠された優しさに触れた時、ユウは知る。
この世界はゲームではない。これは、魂で結ばれる恋の物語だ。