あらすじ
真白ユウは、普通の大学生であり、典型的なオタク生活を送っていた。趣味はBLゲームとファンタジ。そんな彼の心を最も熱くさせる存在は、あるゲームに登場する魔族の王子、リオネルだった。ユウにとって、リオネルは画面の中の存在でしかなかったが、その中性的で美しい顔立ち、天然で不器用な性格、時折見せる照れ顔に胸をときめかせる「推し中の推し」だった。
ある日、ユウはゲームの世界に関する妄想に没頭しながら眠りについた。目覚めると、彼は見知らぬ空間――巨大な城の一室――に立っていた。目の前には、まさにゲームで見たままの姿をしたリオネルが現れたのだ。白銀の髪に紫の瞳、角と羽根を持つその王子は、現実の存在としてユウの目の前に立っていた。ユウは混乱のあまり、思わず声を上げた。「……え、これ、本物!?」
リオネルもまた驚きを隠せない様子で、目を丸くしてユウを見つめた。どうやらユウは、ゲーム世界ではなく「現実の異世界」に転生してしまったらしい。そして、ユウの知識や感情はゲームでの経験とは違い、異世界での現実の選択に直結するのだ。ユウは戸惑いつつも、推しの王子と直接関わるチャンスに胸を高鳴らせる。
しかし、異世界は甘く穏やかなだけの場所ではなかった。魔族と人間の関係は微妙なバランスの上に成り立っており、王国の権力争いや異種族間の確執、時折現れる魔獣や危険なダンジョンなど、予想外のトラブルが次々と襲いかかる。ユウは、ゲームの知識だけでは対応しきれない現実に直面する。
そんな中、リオネルはユウに対して自然体で接してくる。王族としての威厳を保ちつつも、ユウの前では無防備で、たまに見せる甘えや照れは、ユウの心を大きく揺さぶる。最初は戸惑い、混乱するユウだったが、次第にリオネルの不器用な愛情表現に心を開き、互いに距離を縮めていく。森での冒険、王宮での賑やかな日常、時には魔法の授業や料理の手伝いを通じて、二人の関係は日々少しずつ変化していく。
また、王国の魔法使いフィリアやリオネルの忠実な執事クロウ、時にはライバル魔族など、個性豊かなキャラクターたちも登場し、ユウとリオネルの関係をより彩る。フィリアは少し小悪魔的で面倒見がよく、ユウに助言やからかいを交えながら成長を促す。クロウは表情には出さないがリオネルへの深い愛情を持ち、ユウにとって時には頼れる味方、時にはライバル的存在となる。
ユウはこの異世界で、ただ「推しに会う」というだけではなく、自分自身の成長や勇気、他者との関係性を学んでいく。リオネルの魔族としての責務、人間と魔族の共存という問題、そして二人の間に芽生える淡い恋心――すべてが複雑に絡み合う。ユウは次第に、現実世界での自分の価値観や考え方を異世界で応用し、困難を乗り越えていくことに目覚める。
異世界での生活を通して、二人の関係は単なる「憧れ」から「確かな愛」へと変わっていくのだ。
果たして、ユウは異世界で推しの王子とどれだけ距離を縮められるのか? そして、現実世界へ戻る選択をするのか――。甘くて切なく、ドキドキと笑いが詰まった異世界BLラブコメが、ここに幕を開ける。