あらすじ
【この小説はハッピーエンドです。安心して読んでください】
あらすじ
「悪魔に近づくな、魅入られて破滅するぞ」――神父ティモテはその言葉を散々聞かされて育った。だが今、まさに火炙りの刑に処される寸前のティモテは、空に浮かぶ一匹の悪魔を見上げながら、自分がすでに破滅の道を歩んでいたことを悟る。
すべては、森で死体を埋めていた少年の姿をした淫魔との出会いから始まった。ある夜、ティモテは自宅の敷地内で人間の死体を埋めようとしていた悪魔の少年を取り押さえる。少年の正体は淫魔。酔っぱらった人間に襲われた末に精を吸いすぎ、殺してしまったかもしれないとその淫魔は怯えながら語る。本来祓うべき存在ではあるが、淫魔であるが故に顔が良く、そのまま祓うには少し惜しい。ティモテは彼に「魔の物の体には毒である神父の精を食って死ぬか、今ここで祓われるか」と選択を迫る。そして淫魔は前者を選んだ。
それが、奇妙な同居生活の始まりだった。ティモテは彼に隷属紋を刻み、毒の精で弱り切るまで性処理用の「所有物」として囲うことにする。最初は「使い捨て」のつもりだったが、淫魔のけなげさや素直な性格、何より好みの容姿に惹かれ、ティモテは次第に彼を手元に置くことに迷いを覚えるようになる。
淫魔は精の力によって弱るどころかむちむちに成長し、外見も中身も魅力的に変化していく。名前を欲しがり、ティモテを慕って懐くその姿は、もはやただの悪魔ではなかった。朝の食卓を囲み、風呂に入り、夜をともに過ごす。短い時間ながらも、“ふたりの生活”が確かに築かれていった。
だがその日常は突如として終わりを告げる。淫魔を囲っている事実が教会に露見したのだ。ティモテは自らの立場と信仰、そして感情の狭間で苦しみながらも、淫魔を逃がす決断をする。そして、ティモテは教会に連行された。
追放された淫魔はティモテの帰りを信じ、出会った場所で待ち続けるが、彼は現れなかった。失意の中、淫魔は同族の先輩・ミリヤを訪ねる。ミリヤは彼に、淫魔としての「本当の力」の使い方を教える。――人間を堕落させ、自らとの特別な契約を交わす方法だ。
ティモテを取り戻すため、淫魔は決意する。自分の「大好き」という感情を、ただの情念ではなく、心からの想いとしてまっすぐに伝えること。それが彼にできる唯一の道だった。
一方、ティモテは教会の尋問会で『堕落の予兆がある神父』であり、『炎による浄化』が必要だと断定される。神父に火刑の処罰が下されたという一報は街を巡り、大勢の民たちが火刑見物しに集まった。誰もが蔑みの視線を神父に投げる中、一匹の淫魔が青天を背に現れ、魅惑的な笑顔で神父を見下ろしていた。
果たして、淫魔の「愛」は、神父ティモテの「信仰」を打ち破ることができるのか。破滅をもたらすと恐れられた悪魔との出会いは、ある種必然とも言える結末へと向かっていく――。