あらすじ
この悪夢が醒めることがなくとも、それで構わないと思っていた。
伏月町で極々平凡な生活を送る高校生、秋山宵。
10年前に起きたある事件以来、『生きる』ということに意味を見出だせず、彼は歪な『死にたがり』としての日々を過ごしていた。
だがどれだけ死にたいと願っても、生など無意味だという考えを棄てられなくとも、時間は止まることなく無情に流れ続ける。
だからこのまま、願望も希望も持たぬままただ朽ちていけば良いと思っていた。
しかし、世界は彼に傍観を許さない。
死が満ち溢れ、魑魅魍魎が跋扈し、嘆きの叫喚が木霊する魔界の侵食が始まる。
日常が終わる。狂気が拡散する。
様々な出会いと、押し寄せる脅威。
指先から零れ落ちる砂粒のように崩れていく現実を前にして、彼は一人の少女と運命的な出会いを果たす。
未練も、後悔も、恐怖も何もなかった。
ただ早く楽になりたいと願っていた。
死にたがり達の幽霊街には、未来などありはしないのだと。
どうせ死ぬなら、せめてこんな命でも誰かのために使いたいと思っていただけのこと。
そう……それだけの筈だったのに。