あらすじ
貫き通された嘘は、真実と見分けがつかなくなる。
婚前旅行の道中に逃げ出した貴族の少女ミラは、海外へ渡る船を待つ港で、一組の老夫婦と出会う。
凄腕の元諜報員だと言い張る老紳士サミュエルと、認知症の妻マルグリット。
かつてマルグリットが女中頭として仕えた屋敷の『お嬢様』に間違えられたミラは、夫妻と過ごすうちに、すこしずつ心を開いていくが、母の遺品のアミュレットをなくしてしまい――。
嘘と真実が絡み合う一日を経て、ミラは一つの決断を下す。
「……貴方は大嘘つきね、サミュエル」
※恋愛年表「5月…偽装愛」をテーマにした短編小説