あらすじ
とある夜、寝静まった街に二つの靴音が響く。片方が止まれば、もう片方も止まる。速まれば、もう片方も同じように速まる。乾いた音がアスファルトを叩き、じわじわと距離を詰めていく。やがて薄暗い路地裏でその靴音は重なり、ぴたりと止まった。
「あ、あんたは……」
男が振り返ろうとしたその瞬間、後頭部に硬い感触が押し当てられた。湿った夜気の中、金属の冷たさが皮膚を突き抜け骨まで沁みた。
「……動くな」
低い声。男の肩がびくりと跳ね、無意識に両手がゆっくりと上がった。男は唾を飲み込み、かすれた声で呟いた。
「噂の殺し屋か……?」