あらすじ
とある田舎町の駅舎に25年ぶりに降り立った男性は、その日の目的である「母校への訪問」の道すがら、高校時代の出来事を思い出していく。彼の名は藤原優真、彼は当時、この地方ではかなり有名なバスケット選手であり女子高生の人気の的であった。自分の気持ちに気づかないままに幼馴染である女子高生の川島陶子に恋心を寄せていたが、ふとしたことから後輩の男子生徒、真木陽平と肌を寄せ合う仲になってしまう。男同士の付き合いが始まり、母一人子一人の彼はこうした関係に悩みつつも、二人は互いに絆を深めていく。
一方、スケバングループのリーダーである下條小百合は他グループとの抗争に向かう途中、恋焦がれる同性の陶子を呼び出し女同士の交際を求めるも断られる。小百合は、陶子と優真が実は互いに好きであると指摘するが、陶子は憤慨して否定する。小百合は最後に陶子にキスをせがんで思いを遂げ去っていくが、その夜抗争中に刺される。責任を感じる陶子は優真に助けを求め、病院に駆け付けるが小百合は一命をとりとめていた。小百合の無事を確認した帰り道、ふとした冗談から2人は喧嘩をしてしまう。
そして陶子は翌日の紅白試合での優真からのVサインに、心穏やかでない自分に初めて気づく。優真と陽平の関係を知った陶子は自ら距離を取ろうとしたが、ある日偶然出会って再び言い合いになり、そして優真は無理やり陶子の唇を奪ってしまう。男女を意識しだした二人、幼いころからの自然体の仲が崩れていく。やがて亀裂は決定的になり、やりきれない思いの優真は陶子を忘れようとするがごとく、心は後輩に傾いていく。
年が変わり優真は東京の大学に入学、新生活を送りつつ郷里の陽平を想って過ごす日々に、小百合からの突然の手紙が届く。
話は現在に戻り、いま優真は母校で玄関に掲げられている2枚の絵画を見ていた。落涙し、恩師と語り、そして母校を出て駅に戻る道すがら、様変わりした街並みに当時の面影はなく、友人の家も何もかも、近代的なビルに生まれ変わっていた。青春の楽しい思い出もつらい思い出もよみがえってくるが、嬉しいはずの記憶が胸を締め付けるような切ない思いに変わるのは何故だろうか、二度と戻らない過去への愛惜の念なのか。
そんなことを帰りの駅のホームでぼんやり考えていると優真の携帯電話が着信を告げた。