あらすじ
グラフィックデザイナーとして都心で働く『私』の日常は、ある時期から奇妙な夢に侵食され始める。それは、自分が罪人を裁く冷徹な異端審問官であったり、血と鉄の匂いにまみれた兵士であったりする、あまりに生々しい体験だった。
夢の記憶は目覚めた後も身体から離れず、やがて現実の世界にまで溢れ出す。会議中に無意識に口走った未知の言語。初めてのはずの路地で感じる、魂が震えるほどの懐かしさと、理由のわからない涙。
自分という存在が内側から書き換えられていくような底知れぬ恐怖。医者にも理解されず、社会から孤立していく中で、彼は一人の女性カウンセラーと出会う。