あらすじ
何を生業としているのかわからない、得体のしれない中年男性・藤崎賢二は、明治神宮外苑近くにある豪壮華麗なマンションに、29歳年下で心は女性の、みきという男の子と同居している。彼は特に男性に興味があるというわけではなかった。それどころか、妻というものがありながら若い頃は女性遍歴を繰り返していたような男であった。しかし最愛の妻に先立たれたのち、自分のみを見つめ自分を心底支えてくれた妻を裏切ってしまったという悔悟の念に苛まれ、彼をして女性にまったく興味を持てない体にしてしまっていた。そんなとき、ふとしたきっかけで知り合った、当時高校生のみきに次第に惹かれていくようになり、みきはもともと異性に興味がなく、むしろ女性になりたいと思っていた子だったことから、そして最初の出会いから藤崎という男の人間性に心惹かれてしまっていたことから、二人はその後急速に、そして深く結びついていった。
そんなある日、亡き妻を思い起こさせる女性・舞衣と出会い、ひょんなことから食事をすることとなったが、その後偶然の再会の日、彼女と一緒にいた同性愛の相手・沙織から二人の仲を誤解され刺されてしまう。
だがこれを契機として、みきを含めた3人の関係が始まっていく。
一方、藤崎とみきは、別に3人のトランスジェンダーの高校生、豪、ルカ、佑とともに不思議なコミュニティーを形成していた。いずれも、過去に藤崎とみきの二人によって危機から救われた者たちであったが、舞衣もまた、彼女らを深く知るにつけ、また過去のいきさつを知るにつれ、強い感銘を受けていく。まだ20歳にもならないみきという子の考え方、人間性に強く惹かれていくとともに、舞衣は若いメンバーそれぞれのものの考え方・自立性にも影響を受ける。彼女らはまだ未成年であるというのに、ある時は自分たちのことでもあるLGBTQ問題について、またある時はこの日本という国の現状や行く末に関して、それを話題の中心として話を進めるのである。もちろん年齢相応のファッションやアイドルなどのことも話題にはなるが、多くの点で大人でもそこまで深くは話し合えないであろう知識と見識の深さを持っているのであった。舞衣は自身の漫然と過ごしてきた過去を振り返り、新たな自分の人生を見つけ出そうとし始める。幸せはしばらく続いた。(第1巻)