あらすじ
現代の日本に突如として出現したダンジョンと、人々が授かった異能『スキル』。
神谷悠人(かみや ゆうと)は、一度触れた物質の『構造』だけをコピーして別の素材に上書きする【構造模倣】というスキルを持つ、最底辺の探索者だ。
鉄の構造を木に写して「もろい木の剣」を、ポーションの構造を水に写して「ただの水」を作るのが関の山。素材の本質を変えられないこの能力は、ガラクタしか生み出せない『ゴミスキル』として蔑まれ、悠人は日銭を稼ぐのがやっとのどん底生活を送っていた。
「俺の人生、こんなものか……」
諦めかけていたある日、悠人は偶然にも最高ランクの希少金属『ミスリル銀』に触れ、その完全な構造情報を脳内に記録してしまう。
魔が差して、道端の石ころにその情報を上書きしてみる悠人。どうせまた役立たずの模倣品ができるだけ――そう思っていた彼の手に生まれたのは、見た目も重さも質感も、本物のミスリル銀と寸分違わぬ一品だった。
その時、悠人は気づく。
――ゴミ素材ではなく、『適切な素材』に『最高の構造情報』を上書きしたら、一体どうなる?
鉄や銅といったありふれた金属から、誰も見たことのない性能を秘めた伝説級の武具を。薬草から、奇跡としか呼べない効果を持つ霊薬を。
ゴミスキルと呼ばれた【構造模倣】は、組み合わせ次第で無限の可能性を秘めた、唯一無二の『生産チート』だったのだ。
これは、役立たずの烙印を押された一人の青年が、誰にも真似できない自分だけの生産革命で、世界の常識と序列をひっくり返していく物語。