あらすじ
「君のスキルは地味で金がかかるだけだ。役立たずめ」
王宮に仕える宮廷園芸師のアッシュは、ある日突然、役立たずの烙印を押され王都から追放されてしまう。彼の持つスキル【宮廷園芸術】は、植物を育てるだけの地味な生産系スキル。武力を重んじる新体制の王宮では、無用の長物と判断されたのだ。
与えられた追放先は、農業には適さないとされる辺境の荒れ地。しかし、アッシュは絶望するどころか、むしろ胸を躍らせていた。
なぜなら、【宮廷園芸術】はただ植物を育てるだけのスキルではなかったからだ。
――土壌を瞬時に改良し、枯れた大地を蘇らせる【開墾】
――種を植えて数分で収穫できる【成長促進】
――伝説級の植物さえも育て上げる【品種改良】
それは、大地そのものを創造し、生命の理にさえ干渉する、唯一無二のチート能力だった。
貴族の顔色を窺う必要も、予算に頭を悩ませることもなくなったアッシュは、自由気ままなスローライフを開始する。
スキルを駆使して荒れ地を豊かな楽園へと変え、極上の野菜や果物を育て、時には世界樹の苗木なんてものまで育ててしまう。
やがて、彼が作る規格外の作物の噂は静かに広まっていく。彼の元には、食料に困る近くの村人たちはもちろん、森に住むエルフや、気難しいドワーフ、可愛い獣人の少女まで、様々な人々が集い始め、寂れた辺境の地はいつしか活気あふれる豊かな村へと発展していく。
一方、アッシュを追放した王国では、庭園が荒廃し、外交の切り札だった貴重な植物も枯れ果て、深刻な食糧難に陥り始めていた。彼らが手放した存在が、どれほど偉大だったのかを知った時には、もう手遅れで……。
これは、最強の力を持つ園芸師が、美味しい作物と心優しい隣人たちに囲まれて、誰にも邪魔されず自由な毎日を謳歌する、ほのぼの農業ファンタジー。