あらすじ
兄である王太子、ティモシーに追い出されたエルナ。
冷たく風を浴びて、カッと思い出した。
香ばしいソースの匂い。
手際よくたこ焼きを焼き上げる自分の姿。陽気な客たちの笑い声。
前世で生きていた記憶だった。
現代の片隅で、小さなたこ焼き屋を営んでいた人生。
「父上と兄上が、少しばかりあなたに会いたがっているのよ。王都に連れて帰りなさい、と仰せつかったわ」
カルミアの言葉に、エルナは嫌な予感がした。
今更、何のつもりなのだろうか。
「私は、もう王家とは関係ありません」
「あらあら、そんなつれないことを言わないで。あなたには、まだ利用価値があるかもしれないのよ」
再び現れたと思えば、勝手なことばかり言う。
こうなったら、こっちから打って出ないと。