あらすじ
フランス領ギアナの首都カイエンヌ。熱帯雨林の湿った空気と生命のざわめきの中で暮らす17歳の少女マリーは、遠い日本のドラマで見た宝石のような「いくら丼」に、ひそかな憧れを抱いていた。
すぐそばの宇宙センターからは、火星を目指すロケットが轟音とともに飛び立っていく。壮大な人類の夢と、自分の手には決して届かないささやかな願い。そのあまりの「遠さ」に、彼女は複雑な思いを募らせる。
そんなある日、マリーは街の喧騒の中で、きらりと光るオレンジ色の粒に出会う。それは、彼女の日常を少しだけ変える、小さな冒険のはじまりだった。
スコールが降り注ぐ熱帯の街で、少女の焦がれた夢はどこへたどり着くのか。遠い憧れに手を伸ばす、ひと夏のきらめきを描いたみずみずしい青春物語。