あらすじ
「えっ!? は? い、いらっしゃいませー……」
おれはぎょっとした。
深夜のコンビニバイト中、レジで突っ立ってぼんやりしていたら、突然、メロスが自動ドアをぶち破って入ってきたのだ。
砕け散ったガラス片が床にパラパラと転がり、夜の冷たい外気が鋭く店内に流れ込んできた。
思わずマニュアル通りの挨拶が口を突いて出たものの、足は床に貼りついたように動かなかった。メロスは肩を上下させ、獣のように荒い息を吐いている。
それにしても、なぜおれは一目であの男を『メロス』だと確信したのだろうか。腰に巻いたぼろ布、原形を留めていないサンダル。彫りの深い顔と精悍な目つき。古代ギリシャの人間としか思えない姿だが――。
「メロスは激怒した!」