あらすじ
「消えようと思ってるんだよ、ここから」
燦燦と降り注ぐ日の光を浴びながら生徒会長・比良川星はそう告げた。
「だから私が卒業したあと、私の名前が残るものをぜんぶ回収してほしいんだ。賞状とかトロフィーとか」
校内のいたる所にあらゆる形で彼女の名前は掲示されている。うちに入学する生徒ならどこかで必ず彼女の存在を知ることになるだろう。
そんな彼女を消し去るのはかなり骨が折れそうだ。
「まあ無理にとは言わないよ」
「はい無理です」
「君ははっきりしてるね。じゃあこういうのはどうかな」
にやりと比良川星は笑った。
その悪い笑みすらキラキラ輝いて見えるのは僕のバイアスだろうか。
「回収した私の痕跡はぜんぶ君にあげよう。私を消したあと、崇めるなり燃やすなり好きにするといい」
彼女の言葉が頭の中に響く。
その意味を咀嚼して、理解して、息が止まった。
「稀代の生徒会長、比良川星の過去を独り占めだ。悪くはないだろう?」