あらすじ
――告知なしの極悪アップデート。
自室でVRゴーグルを外す間もなく、“僕”は魔法師《セレス》――“私”として石畳の上に立っていた。
硫黄の焦げる匂い、杖の木目が掌に食い込む感覚、耳を裂く咆哮――五感はすべて生身。
ガルド、ヴァレリア、カイ、リリィ。いつもの仲間はいるのに、インベントリもミニマップもどこにもない。
便利なUIは消え、味方ダメージまで有効。
本来なら“範囲魔法”で簡単に終わるはずのオーク討伐戦。
だが胸奥の警鐘が告げる――現実となったこの世界ではパーティだろうがなんだろうが範囲攻撃は敵味方を選ばない。
怯えるリリィの肩を抱き、セレスは“理想の魔法師”の仮面を被り直す。
安全圏ゼロの極悪ルールの世界で――“彼女”は初手からパーティを生かす選択を模索する。
ここはゲームではない。だが、積み重ねた連携は裏切らない。
生存戦略は、もう始まっている。